fc2ブログ
小説家タカノカオルのフリー小説置き場。 どうぞご自由にご覧くださいませ♪ 一言だけでも感想いただけると泣いて喜びます。
フリー小説の邯鄲
Act.3 「幸せ《Are'nt you happy?》」

表参道のスターバックスでコーヒーを飲んでいると、茂がやって来た。
茂は左手を挙げて、私に笑いかけた。
彼はあたしの前に座る。店内は意外に混み合っていない。

「聞いてくれよ、マジで」

マグカップにつがれた真っ黒なコーヒーが、波打っている。
彼の話はたわいなく、声が美しいわけでもなく、ただゆっくりと時間は過ぎていく。
恋人の話。アイツのこういうところがキライだと言う彼。
あたしは笑ってしまう。

「だからさぁ、時々俺は、別のヤツの方が良いんじゃないかって」


あたしは、なぜか悲しいような気持ちになった。
でも、言わずにはいられなかったのだ。

二人で場所を変えようと、立ち上がった。
茂の服の裾を握る。
あたしは、口を開いた。

お客さんの声、コーヒーを注ぐ音。
そして、外を走る車から聞こえるクラクションの音。


彼は、目を潤ませた。
スポンサーサイト



ページトップへ  トラックバック0 コメント0
<< 2007/12 >>
S M T W T F S
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -


余白 Copyright © 2005 フリー小説の邯鄲. all rights reserved.