Act.1 「友達〈知り合いだから〉」
どしゃぶりの雨。
耳に痛いくらい、雨粒がアスファルトを叩きつけてる。
ちょっとだけ途方にくれちゃう。
社会人サークルの飲み会の帰り道。
深夜12時を回った、新宿。
クローズ後の紀伊国屋書店で雨宿り。
これじゃ歩きづらいことこの上ないけど、でも終電を逃したくないし。
あ、でも濡れたまんまで電車に乗るってどうよ。
タクる? タクるのもイヤ……
今月タダでさえキツイのに。
「あれ、観月サン?」
涙目になってると、飲み会で一緒だった男性が通りかかった。
彼とは話したこともないし、あまり知らないけれど、気のいい人なんだろうなとは周りの人の話から思う。
そんな程度の。
「一緒に入ってく?」
「え、ほんと?」
大きなビニール傘に、あたしは入れてもらった。
話題を探しながらふと見ると、彼の肩はすこし濡れていた。
あたしはしっかり傘の中に入れてもらってる。
「肩、濡れてるよ」
今気がついたというように、目をぱちくりとさせてから、彼は笑った。
「いいよ、別に」
その笑顔がなんだかとてもかわいかったので、あたしも笑い返した。
彼の名前は松浦茂。
あたしより一つ年下で、そして。
このとき、こんなことがなければきっと知っている人くらいのポジションでいられたと思う。
そうであればよかったと、今でも心から思う。
どしゃぶりの雨。
耳に痛いくらい、雨粒がアスファルトを叩きつけてる。
ちょっとだけ途方にくれちゃう。
社会人サークルの飲み会の帰り道。
深夜12時を回った、新宿。
クローズ後の紀伊国屋書店で雨宿り。
これじゃ歩きづらいことこの上ないけど、でも終電を逃したくないし。
あ、でも濡れたまんまで電車に乗るってどうよ。
タクる? タクるのもイヤ……
今月タダでさえキツイのに。
「あれ、観月サン?」
涙目になってると、飲み会で一緒だった男性が通りかかった。
彼とは話したこともないし、あまり知らないけれど、気のいい人なんだろうなとは周りの人の話から思う。
そんな程度の。
「一緒に入ってく?」
「え、ほんと?」
大きなビニール傘に、あたしは入れてもらった。
話題を探しながらふと見ると、彼の肩はすこし濡れていた。
あたしはしっかり傘の中に入れてもらってる。
「肩、濡れてるよ」
今気がついたというように、目をぱちくりとさせてから、彼は笑った。
「いいよ、別に」
その笑顔がなんだかとてもかわいかったので、あたしも笑い返した。
彼の名前は松浦茂。
あたしより一つ年下で、そして。
このとき、こんなことがなければきっと知っている人くらいのポジションでいられたと思う。
そうであればよかったと、今でも心から思う。
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